日本郵政、中計で集配拠点を再編へ 料金見直しも視野に維持と効率化の両立を急ぐ
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日本郵政、中計で集配拠点を再編へ 料金見直しも視野に維持と効率化の両立を急ぐ

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日本郵政が中期計画で、集配拠点の集約や郵便料金の見直しを進める方針を示しました。人手不足が深刻化するなか、全国ネットワークの維持と収益改善をどう両立するかが荷主・物流事業者にも影響します。

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日本郵政グループが公表した次期中期経営計画の骨子では、「総合物流企業化」と「ラストワンマイル改革」を掲げ、全国の集配拠点の集約・再配置と郵便料金の見直しを組み合わせて、ネットワーク維持とコスト効率化の両立を図る方針が打ち出された。人口減少と郵便物数の長期減少、人手不足が重なる中で、拠点戦略と料金政策を同時に動かす大規模な構造転換である。

郵便から総合物流へ──中計が示すポートフォリオ転換

日本郵政は、2026〜2028年度を対象とする次期中期経営計画で、郵便・物流・不動産・金融のポートフォリオを組み替え、「総合物流企業化」と「ラストワンマイル改革」を物流戦略の中核に据えたとされる※1。郵便物は電子化の進展により、2001年度の約262億通から2023年度には約130億通まで半減しており(日本郵便公表値ベース)、このトレンドは今後も続くと見込まれる。

一方で、ゆうパック等の荷物取扱個数はEC拡大を背景に増加しており、日本郵政は郵便と荷物を分断していた従来の事業セグメントを再整理し、BtoB・BtoCを一体で運営する「総合物流企業」への転換を打ち出した※1※4。M&Aや資本提携(トナミホールディングス買収、ロジスティードホールディングスとの提携など)を通じて、コントラクト物流や国際物流までを含むサプライチェーン網の構築を目指している。

130億通

2023年度の郵便物取扱数(2001年度から約半減)

1,300億円

2015〜17年のネットワーク再編投資額(郵便・物流再編計画)

日本郵便は2015〜2017年度にかけて「郵便・物流ネットワークの再編計画」に約1,300億円を投じ、区分作業拠点の集約と大型地域区分局の新設を進めた※3。今回の中計では、こうした再編をさらに発展させ、郵便・荷物の集配ネットワークを総合物流インフラとして再設計する流れが鮮明になっている。

集配拠点の集約と再配置──都市と地方で異なる戦略

今回の中計骨子で最も象徴的なのが、「集配拠点の集約等による集配ネットワーク効率化」と、それと連動した拠点不動産の再活用である※4。LOGISTICS TODAYやロジスティクス・レビューの報道によれば、日本郵政は都市部と地方部で異なる再編シナリオを描いている※1

都市部では、土地価値の高い集配局用地を不動産開発に転用し、処理機能を地域区分局へ集約する。つまり、機能的には中継拠点への集中・自動化を進めながら、立地ポテンシャルの高い局舎はオフィス・商業・レジデンスなどの開発の原資へと変換していく戦略だ。不動産事業については、大阪、麻布台、広島、五反田などを候補に総合デベロッパー化を進め、将来的に業界トップ10入りを目指すとされる※1

一方、地方部では「広域配達」を前提にセンター集約を進め、人口減少地域でもネットワークを維持できるスケールを確保する。重要なのは、日本郵便単独の荷物だけではなく、他社荷物の受託拡大も視野に入れている点だ※1。ドライバー不足とコスト高が続くなか、地域のラストワンマイルを複数事業者で共同利用する「共配インフラ」としての郵便局ネットワークという構図がより現実味を帯びてきた。

「集配局に分散配置されていた区分機を地域区分局に集中配置し、大型地域区分局を新設することで、生産性向上とコスト削減を図る」

— 日本郵政グループ「新郵政ネットワーク創造プラン2017」の説明資料より再編計画の趣旨※3

今回の集約・再配置も、この流れをさらに進めるものとみられる。地域区分局に処理機能を集中させることで、仕分けの自動化投資を一箇所に集約しやすくなり、処理能力の平準化や夜間操業の最適化がしやすくなる。一方で、末端の配達拠点が減れば、1拠点あたりの配達エリアは広がり、ドライバー1人あたりの負荷が増えるリスクもある。人手不足下での要員再配置と業務設計がボトルネックになり得る。

郵便料金の見直し──値上げだけではない「料金設計」の焦点

中計では、ラストワンマイル改革の一環として「差出・受取利便性を高める価格体系の見直し」が挙げられている※1。これは単純な一律値上げではなく、サービスレベルやチャネル別の料金体系を再設計する可能性を示唆している。

ここで背景となるのが、人件費・燃料費・車両維持費などのコスト上昇と、24年問題を踏まえた物流全体の運賃是正の流れだ。ロジスティードが2024年度決算で国内物流の収益性改善により利益を前年比37.8%増としたのも、運賃改定や契約条件の見直しが進んだ結果とみられる※1。また、燃料サーチャージ制度の導入拡大など、荷主に対してコスト構造を可視化し、連動制のある料金へとシフトする動きも強まっている※3

37.8%増

ロジスティードの国内物流収益性改善による利益増加率(決算報道)

過去最多水準

2025年の物流事業者の休廃業・解散件数(LOGISTICS TODAY推計)

日本郵政の料金見直しも、こうした業界全体の「適正運賃」化の流れの一環と位置づけられる。具体的には、以下のような方向性が想定される。

・窓口差出とオンライン差出(クリックポスト等)での料金差別化
・速達・当日配達など高付加価値サービスの価格見直し
・再配達削減のための受取方法(宅配ロッカー・コンビニ受取等)に応じた料金インセンティブ
・特定エリアや時間帯の配達に対する追加料金設定

中小物流事業者では、コスト高を価格に十分転嫁できず、2025年の休廃業・解散件数が過去最多水準となったとの分析もある※2。ユニバーサルサービス義務を負う日本郵便が料金の適正化に踏み込めるかどうかは、単に一企業の収益問題にとどまらず、地域物流インフラを「誰が、どの価格で維持するのか」という政策的な論点とも直結する。

人手不足と24年問題──拠点再編は現場をどう変えるか

次期中計のメッセージを、2024年トラックドライバーの時間外労働規制(いわゆる24年問題)以降の文脈に置き直すと、その意味合いはより鮮明になる。長時間労働の是正と人手不足が同時に進行するなかで、拠点を維持するには、1拠点あたりの処理量を増やし、1人あたりの生産性を引き上げるしかない。日本郵政は自動化投資と要員配置の最適化により、大幅なコスト削減を目指すと明言している※1

今週のニュースでも、トラスコ中山が8.9万m²の大型物流センターを愛知県で稼働させたことや、山善が新ロジ拠点でAMR(自律走行搬送ロボット)を導入したことが報じられた※1。拠点集約と自動化・ロボティクスをセットで進める動きは、民間物流企業で既に標準的な投資テーマとなっている。日本郵政のネットワーク再編も、同様に仕分け・搬送の自動化レベルを高めなければ、単なる「拠点削減」に終わり、品質低下や現場負荷増大に直結しかねない。

地方でのセンター集約は、配達距離の伸長や降雪・災害時のリスク増加も意味する。そこで鍵を握るのが、共配やモーダルシフトとの組み合わせだ。日本トランスシティが北海道石狩で菓子・食品の共配センターを竣工し、日通とJR東海が新幹線を用いた即日輸送を開始するなど、異業種・異モードを組み合わせたネットワーク最適化が広がっている※1。郵便・荷物ネットワークも、トラック単独ではなく鉄道・船舶との連携を前提に設計し直すことで、長距離区間の省力化・脱炭素化を同時に実現できる余地が大きい。

「総合物流企業化」は業界再編のトリガーになるか

日本郵政の中計で掲げられた「総合物流企業化」は、単にグループ内のセグメント再編にとどまらない。トナミHDやロジスティードとの連携を通じて、コントラクト物流・国際物流・BtoB輸配送・ラストワンマイルまでを一体で提供する垂直統合モデルの構築を目指している点は、明確に「業界再編プレーヤー」としてのポジションを意識したものだ※1※4

同時に、LOGISTICS TODAYが報じるように、中小物流事業者の休廃業・解散は過去最多水準に達しており、黒字のまま市場から退出するケースも少なくない※2。人手不足とコスト高を背景に、地域の輸配送・倉庫事業者のM&Aや業務提携はさらに加速する可能性が高い。日本郵政にとって、地方のラストワンマイルを守りながらネットワーク効率を高めるうえで、地域事業者との協業・受託スキームをどこまで設計できるかが重要なテーマとなる。

荷主サイドからみれば、日本郵政がBtoB物流やコントラクト物流に本格参入し、料金体系も含めて総合メニューを提示できるようになれば、ヤマト、佐川、日本通運グループ、ロジスティードなどとの競争・補完関係が変わる。特に、郵便局ネットワークを活用した地域密着型の共配・集荷サービスは、地方製造業・EC事業者にとって魅力的なオプションとなり得る。

維持と効率化をどう両立させるか──荷主・物流企業が今から準備すべきこと

今後3年間、日本郵政の拠点再編と料金見直しは段階的に具体化していくとみられる。荷主企業や他の物流事業者が準備できる実務的なポイントとしては、次のような項目が挙げられる。

・郵便・ゆうパック・法人向け輸送の利用実績を棚卸しし、拠点再編によるリードタイム・集荷締切時刻の変化をシミュレーションする
・料金改定やサービス体系見直しの情報を早期にキャッチし、自社の料金体系(配送料、返品送料など)への転嫁ルールを整備する
・地方拠点では、日本郵便を含む複数キャリアとの共同配送・共同幹線の可能性を検討し、24年問題後の安定輸送を確保する
・デジタル化された差出・受取チャネル(オンラインラベル、ロッカー受取等)への移行を進め、コストインセンティブを最大限活用する

物流業界全体が「拠点の数を減らしつつ機能を高度化する」方向に向かうなかで、日本郵政の中計はその象徴的な事例といえる。ユニバーサルサービスと効率性の両方を追求する試みが、どこまで具体的な成果につながるのか。料金制度やネットワーク設計の詳細が見えてくるこれからの数年は、日本の宅配・郵便・BtoB物流の勢力図を大きく塗り替えるフェーズになるだろう。


Fontes: LOGISTICS TODAY「日本郵政、次期中計で“総合物流企業化”を加速」

Fontes: ロジスティクス・レビュー/LOGI-BIZ online「日本郵政、次期中計で『総合物流企業』への脱却を明示」

Fontes: CBRE「日本郵便株式会社 郵便・物流ネットワークの再編計画」

Fontes: 日本郵政「次期中期経営計画の主要施策(骨子)」

Fontes: LNEWS 物流・ロジスティクス関連速報

Fontes: LOGISTICS TODAY「中小物流事業者の休廃業・解散動向」

Fontes: 物流ニッポン/Logistics.jp「燃料サーチャージ制度に関する報道」

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#日本郵政#拠点再編#郵便料金#人手不足#物流網維持
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